3分でわかる交通事故統計情報オープンデータの使い道と使い方

「うちの前の道路、実は事故が多いのでは?」「会社の配送ルート、もっと安全にできないか?」
こうした疑問や課題に、客観的なデータで答えてくれるのが、警察庁などが公開している「交通事故統計情報オープンデータ」です。これは、過去に発生した交通事故の記録を、誰でも自由に利用できるようにした社会の共有財産。その使い道と簡単な使い方をご紹介します。
【データの概要】何がわかるのか?
このデータには、交通事故一件ごとの詳細な情報が記録されています。主な内容は以下の通りです。
 * いつ?:発生した年月日、時間帯
 * どこで?:発生した市区町村、緯度経度
 * どんな状況で?:天候、路面の状態、道路の形状(交差点、カーブ等)
 * 誰が?:当事者の年齢層、乗っていた車両の種類(歩行者、自転車、自動車など)
 * どうなった?:事故の類型(追突、出会い頭など)、死傷者の状況
これらの情報を組み合わせることで、事故の傾向を多角的に分析できます。
【使い道】データで未来はもっと安全になる
このデータの使い道は、個人の生活からビジネス、街づくりまで多岐にわたります。
1. 個人の生活を守るために
 * 通学路・生活道路の安全確認:子どもが毎日通る道や、引っ越し先の周辺で過去に事故が多発していないかを確認し、危険を避ける意識を高めることができます。
 * 運転ルートの検討:普段使う道や、初めて通る旅行先のルートで、特に注意すべき場所(見通しの悪い交差点など)を事前に把握できます。
2. ビジネスの課題を解決するために
 * 配送ルートの最適化:物流・運送業において、事故発生率の高い道路や時間帯を避けた安全な配送ルートを設計し、従業員の安全確保と輸送効率の向上につなげます。
 * 出店計画・エリアマーケティング:不動産業や小売業が、エリアの安全性を評価する客観的な指標として活用し、物件の付加価値や出店戦略に役立てます。
 * 保険・モビリティサービス開発:損害保険会社が、より精緻なリスク評価を行ったり、カーナビアプリが「急ブレーキ多発地点」などの注意喚起機能を提供したりします。
3. 安全な街づくりのために
 * 危険箇所の特定と対策:自治体や警察が、事故が集中している「ホットスポット」を地図上で特定し、信号機の設置、ガードレールの増設、道路標識の改善といった具体的な安全対策を効果的に実施します。
 * 交通安全教育:高齢者や子ども向けの交通安全教室で、身近な場所の事故事例をデータで示すことにより、教育効果を高めます。
【使い方】誰でも簡単に見られる・使える
「統計データは難しそう…」と思うかもしれませんが、簡単に利用する方法があります。
手軽に見る方法:可視化マップを使う
最も簡単なのは、データを地図上に表示してくれるウェブサイトを利用することです。例えば、損害保険会社などが提供している「交通事故マップ」では、住所を入力するだけで、その周辺の事故発生地点を地図上で直感的に確認できます。
詳しく分析する方法:元データをダウンロードする
より専門的な分析をしたい場合は、警察庁のウェブサイトや政府の統計ポータルサイト「e-Stat」から、CSV形式の元データを直接ダウンロードできます。Excelや専門のGIS(地理情報システム)ソフトを使えば、「特定の時間帯の高齢者事故だけを抽出する」といった、独自の切り口で詳細な分析が可能です。
このオープンデータを活用することは、過去の悲しい事故の教訓を、未来の安全を築くための力に変える第一歩です。

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