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【第26回】動的な状況図を描く!iDesktopXの2D/3Dダイナミックプロット

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  こんにちは!GIS導入支援コンサルタントのippuku_timeです。 「5分で分かるSuperMap iDesktopX製品・機能紹介シリーズ」、ついに最終回となる第26回です。これまでGISの基本から応用まで様々な機能を見てきました。最後を飾るのは、防災、警察、インフラ管理といった危機管理の現場で、状況を直感的に共有するために使われる専門的な機能、「 2D/3Dダイナミックプロット 」です。 【第26回】動的な状況図を描く!iDesktopXの2D/3Dダイナミックプロット 1. ダイナミックプロットとは? ダイナミックプロットとは、地図や3Dシーン上に、特殊な意味を持つ標準化されたシンボル( 防災記号 など)を配置し、緊急対応計画やインフラの維持管理計画といった状況図を作成する機能です。これらのシンボルは、単なる絵ではなく、チームの規模や種類、進行方向、活動範囲といった属性情報を持っており、地図を見るだけで複雑な状況を迅速かつ正確に把握することができます。 図 3D都市モデル上に災害対応の状況図をプロットするイメージ 2. 2Dプロット:伝統的かつ高機能な状況図作成 まずは基本となる2D地図上でのプロットです。 (1) プロットパネル: iDesktopXには、標準化されたシンボルが格納された専用の「プロットパネル」が用意されています。ここから、配置したい要員や事象を表すシンボル(点シンボル)や、移動ルートや活動範囲を示す矢印など(線・面シンボル)を選択し、地図上にドラッグ&ドロップするだけで配置できます。 (2) プロパティパネル: 配置したシンボルは、「プロパティパネル」で詳細な属性を設定できます。例えば、チームシンボルのサイズを変更したり、進行方向を示す矢印の形状を調整したり、テキストラベルを追加したりと、状況に応じて柔軟なカスタマイズが可能です。 3. 3Dプロット:よりリアルな状況把握 2Dプロットの機能を、そのまま3Dシーン上で実現します。これにより、地形の起伏や建物の高さといった3次元的な要素を考慮した、より現実に即した状況図を作成できます。 (1) 3D空間へのシンボル配置: 2Dと同様の操作で、3D都市モデルの中にチームや車両の3Dシンボルを配置できます。例えば、特定のビルの屋上に監視員を配置したり、道路上に車両を配置したりといっ...

技術の潮流と人の絆が生み出す、国土情報の新たな地平

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  はじめに 「SuperMap」「海図」「陸海空一体化」──先日、これらのキーワードで未来の国土情報の姿を思い描く機会がありました。さらに、毎年恒例となっている日本の国際協力の柱「JICA海外公務員研修」を重ね合わせると、テクノロジーと人、そして国づくりが交差する壮大な物語が浮かび上がってきます。 2025年の今、地理空間情報をめぐる世界ではどんな潮流が生まれているのか。その可能性をたどりながら、「技術」と「人」の協奏が生み出す未来を探ってみたいと思います。 AIとGISが描く「陸海空一体化」の未来 かつて、地図は「陸」、海図は「海」、それぞれ独立した世界でした。しかし現代のGIS技術──特にSuperMapのような先進的なプラットフォームは、その境界を軽々と越えています。 3D都市モデルで陸の姿を描き、ドローンが撮影した高精細オルソ画像で空から俯瞰し、さらに国際標準の電子海図(S-57/S-100)で海の情報を重ね合わせる。こうした「陸・海・空」の情報を一つのデジタル空間に統合し、リアルタイムに解析できる時代が到来しました。 さらにここにAIが加わることで可能性は大きく広がります。衛星データからインフラの変化を自動検出する。過去の気象・海象データと地形データを組み合わせてリアルタイムに浸水リスクを予測する「AI Geo-relationalモデル」が現実となり、国土規模のデジタルツインが実現しつつあるのです。 災害時の被害把握、インフラの効果的な配置、洋上風力発電の立地選定など、応用分野は無限に広がっています。これはまさに「陸海空一体化」の深化にほかなりません。 JICA研修が築く“知のインフラ” ただし、どれほど高度な技術であっても、それを活かすのは「人」です。特に防災やインフラ整備が急務の開発途上国では、技術の導入と同時に、それを担う人材育成が不可欠です。 ここで重要な役割を果たしているのが、JICAの「知識共創プログラム」としての公務員研修「JICA集団研修(水路測量技術者養成の国際認定コース)」です。各国から集まった行政官や技術者たちは、日本の国土地理院や海上保安庁海洋情報部で、測量、地図作成、水路測量といったノウハウを学びます。 単なる技術操作を学ぶだけでなく、国家空間データ基盤(NSDI)をどう構築し、運用していくかという思想や哲学に触れるこ...

【第12回】ライフラインを可視化・分析!iDesktopXの施設ネットワーク解析

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  こんにちは!GIS導入支援コンサルタントのippuku_timeです。 「5分で分かるSuperMap iDesktopX製品・機能紹介シリーズ」、第12回をお届けします。前回は道路網を対象とした「交通ネットワーク解析」を学びましたが、今回はもう一つの重要なネットワーク、「 施設ネットワーク解析 」に焦点を当てます。水道、ガス、電力、河川など、流れの「 方向 」が重要なライフラインをGISでどのように分析できるのか、その強力な機能を見ていきましょう。 【第12回】ライフラインを可視化・分析!iDesktopXの施設ネットワーク解析 1. 施設ネットワークとは? 施設ネットワークとは、水道管、ガス管、送電網、河川網のように、資源や物質が 決まった方向に流れる ネットワークのことです。道路のように自由に行き来できる交通ネットワークとは異なり、「上流」から「下流へ」といった 流向 が定義されているのが最大の特徴です。 iDesktopXの施設ネットワーク解析は、この「流向」を考慮することで、インフラ管理や防災計画において極めて重要な分析を可能にします。 図 港区の地下に張り巡らされた水道管ネットワークの解析イメージ 2. 流れを追跡する「トレース分析」 トレース分析は、ネットワーク上の任意の地点から、流れに沿って(または逆らって)経路を追跡する機能です。インフラの維持管理や緊急時対応に不可欠です。 (1) 下流トレース (Downstream Trace) 指定した地点から、水や電気が流れていく先(下流)の全範囲を特定します。 ① 利用シーン: 港区の古川で水質汚染が確認された場合、その汚染が下流のどの範囲まで影響を及ぼす可能性があるかを迅速にシミュレートする。 (2) 上流トレース (Upstream Trace) 指定した地点に、どこから水や電気が流れてきているか(上流)を遡って特定します。 ① 利用シーン: あるビルで断水が発生した場合、そのビルに水を供給している上流の水道管系統をすべて特定し、原因調査の範囲を絞り込む。 (3) 水源・終点の検索 ネットワークの最も上流にある供給源(水源)や、最も下流にある末端(終点)を検索します。 3. ネットワークの接続状態を知る「到達可能性分析」 ネットワークが正常に接続されているか、あるいはどこが孤立しているかを...