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3分でわかるBIMとGISの違い、融合したら何が変わる?

私たちの社会を支える建物や都市のデジタル化において、「BIM」と「GIS」という二つの技術が非常に重要です。これらは似ているようで、実は得意なことや役割が全く異なります。その違いと、二つが融合することで生まれる未来の可能性を解説します。 【BIMとは?】建物の「深さ」を追求する技術 BIM(Building Information Modeling)は、一言でいえば「建物のデジタルな分身」を作る技術です。 コンピューター上に建物の3Dモデルを構築しますが、それは単なる立体的な絵ではありません。壁、柱、窓、ドア、さらには配管一本に至るまで、すべての部材が「これは何で、どんな材質で、価格はいくらか」といった詳細な属性情報を持っています。  * 得意なこと:個別の建物やインフラ(橋、トンネルなど)の設計、施工、維持管理。  * スケール感:ミクロ(建物一棟、構造物一つ)  * キーワード:建築、設計図、コスト管理、ライフサイクル 例えるなら、BIMは「一人の人間」の精密なカルテのようなものです。身長、体重、骨格、血管の配置まで、その人に関するすべてが詳細に記録されています。 【GISとは?】都市の「広さ」を追求する技術 GIS(Geographic Information System)は、「地理空間全体のデジタルマップ」を作る技術です。日本語では「地理情報システム」と呼ばれます。 地図情報をベースに、地形、地盤、人口分布、交通網、土地利用、ハザード情報といった、都市や地域全体に関わる様々な情報をレイヤー(層)のように重ね合わせて、解析・可視化します。  * 得意なこと:都市計画、環境解析、防災計画、エリアマーケティングといった広範囲の空間解析。  * スケール感:マクロ(都市、国、地球全体)  * キーワード:地図、都市計画、ハザードマップ、空間解析 例えるなら、GISは「社会全体」の国勢調査や都市計画図です。どの地域に何人が住み、道路や学校がどう配置されているか、といった広い範囲の関係性を示します。 このように、BIMが建物一棟一棟をミクロの視点で深く掘り下げる「個人のカルテ」だとすれば、GISは都市全体をマクロの視点で捉え、広域な空間解析を行う「都市計画図」と言えます。対象も目的も、その視点も対照的なのです。...

Unreal Engineと連携する没入型デジタルツイン

 都市の3Dモデルを、ただ眺めるだけの時代は終わりました。これまでのデジタルツインは、現実のような質感や直感的な操作に限界がありましたが、地理情報システム(GIS)の「SuperMap」と、世界最高峰のゲームエンジン「Unreal Engine」の融合が、その壁を打ち破ります。 この連携の核となるのが、GISデータをゲームエンジンに直接統合する「 SuperMap Hi-Fi 3D for Unreal 」です。このツールは、都市モデルや地形といった正確なGISデータを、Unreal Engineが描き出す圧倒的にリアルな世界へ直接取り込みます。これにより、現実の太陽光や天候を再現した環境の中で、浸水シミュレーションなどの高度なGIS解析を、その場で実行し可視化できるようになるのです。 「体験」できる、生きた都市モデルへ この技術によって生まれるのが「没入型デジタルツイン」、つまり私たちが実際にその空間を“体験”できる、生きた都市モデルです。 例えば、新しい高層ビルがもたらす日当たりの変化を、住民の目線で街を歩きながら確認したり、フォトリアルな浸水シミュレーションによって避難経路の危険性を直感的に理解したりすることが可能になります。 さらに、都市計画の担当者がその場で道路や公園の配置を変更し、交通量への影響を即座にシミュレートするなど、これまでは難しかったインタラクティブな計画検討が実現します。災害シミュレーションから景観検討、自動運転の走行実験まで、あらゆる検証を仮想空間上でリアルに行えるようになるのです。 都市計画の未来を変える共通言語 SuperMapとUnreal Engineの連携は、専門家だけのものであった難解なGISデータを、市民から行政担当者まで、誰もが体験し対話できる「共通言語」へと進化させます。 計画段階にある都市の未来の姿を関係者全員で共有し、対話することで、より迅速で納得感のある意思決定を可能にする、まさに都市計画のゲームチェンジャーと言えるでしょう。