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デスクトップからWebへ!SuperMapとPostGISで作る「信頼できる唯一の情報源」

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GIS データ活用の最終目標は、専門家だけが使うツールから、組織内の誰もが必要な情報にアクセスできるプラットフォームへと進化させることです。それを実現する鍵が、デスクトップGIS、データベース、そしてWeb GISサーバーの連携です。 今回は、 PostGIS を一元的なデータベースとして、 SuperMap iDesktopX で編集したデータを、 SuperMap iServer & iPortalを通じてWebサービスとして公開するまでのワークフローをご紹介します。 「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)」の重要性 組織内でデータのコピーがいくつも作られ、「どれが最新の正しいデータか分からない」という経験はありませんか?部署ごとに同じようなデータを別々に管理していると、更新の漏れや矛盾が生じ、業務効率の低下や意思決定の誤りを招きます。 この問題を解決するコンセプトが「 信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth) 」です。組織の基幹となるデータをPostGISのような中央データベースに一元化し、デスクトップ、Web、モバイルなど、あらゆるアプリケーションがその単一のデータベースを参照するアーキテクチャを構築するのです。 デスクトップからWeb公開までのシームレスな連携 SuperMapプラットフォームでは、この理想的なワークフローが非常にスムーズに実現できます。 ① データ準備 (iDesktopX) : まず、デスクトップGISであるSuperMap iDesktopXを使い、PostGISデータベース上のデータを参照するマップや3Dシーンを作成し、「ワークスペース」として保存します。 ② リソース登録 (iPortal) : 次に、組織のGISリソースのカタログ(目録)の役割を果たす SuperMap iPortal に、作成したワークスペースを登録します。これにより、どのようなデータやマップが利用可能かが組織全体で共有されます。 ③ サービス公開 (iServer) : 最後に、GISサービス実行エンジンであるSuperMap iServerが、iPortalに登録されたワークスペースを読み込み、 WMS や WFS といった標準化されたWebサービスとして公開します。 このアーキテク...

サプライチェーンの「見えないリスク」を可視化する。GISが可能にした次世代BCPとは

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ここ東京のオフィスにいても、遠く離れた地域で発生した災害が、私たちのビジネスに深刻な影響を及ぼすことがあります。特に、国内外に数千、数万社のサプライヤーを抱える製造業にとって、サプライチェーンの寸断は事業の継続を揺るがす死活問題です。 「大地震が発生した。被災地のどのサプライヤーに影響が出ているのか?」 この問いに、数時間、あるいは数日かけてExcelのリストと格闘していては、手遅れになりかねません。 今回は、大手建設機械メーカーであるコマツのサプライチェーンを災害から守るために、クオリカ株式会社が SuperMap iServer を中核として構築した、先進的なBCP(事業継続計画)対応システムをご紹介します。 従来の課題:地図なきサプライヤー管理 多くの企業では従来、サプライヤーの情報をExcelなどで個別に管理していました。これでは、各サプライヤーの「情報」はあっても、「場所」との結びつきが弱く、いざという時に迅速な判断ができません。 災害発生時に、「被災地にある企業」を瞬時に把握することができず、影響の全体像を掴むまでに大きなタイムラグが発生するという課題を抱えていました。 GISによる解決策:サプライチェーンの可視化 この課題を解決するために構築されたのが、サプライヤー情報を地図上で一元管理するシステムです。 SuperMap iServerをプラットフォームの中核とし、これまでバラバラだったサプライヤーの情報をデータベースに集約。それぞれの所在地を地図上にプロットすることで、 サプライチェーン全体を視覚的に把握 できるようにしました。 これにより、災害発生時には、地図上で被災エリアをクリックするだけで、影響を受ける可能性のある企業を瞬時にリストアップし、代替調達などの次のアクションに素早く移行することが可能になります。数時間かかっていた作業が、わずか数秒で完了するのです。 緊急時だけではない、平常時にも生きるシステム このシステムの優れた点は、緊急時だけに価値を発揮するのではない、というところにあります。 このプラットフォームは、サプライヤーとの日常的な コミュニケーションツール としても活用されています。常に最新の情報をシステム上で共有することで、いざという時のためのBCP情報が陳腐化するのを防ぎ、平常時の業務効率の向上にも貢献しているのです。 まとめ...

(5分でわかる)SuperMap iServerの同時アクセス数を制御する実践的な方法とは

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こんにちは! 9月に入り、暦の上では秋ですが、東京はまだ夏の気配が色濃く残っていますね。こんな日は、涼しいオフィスでじっくりとシステムの最適化に取り組むのが捗ります。 さて、GIS管理者にとって重要なテーマの一つが、サーバーへの 同時アクセス制御 です。特に、商用データを提供する際には、サーバーの安定稼働とライセンス契約の遵守が求められます。 「SuperMap iServerの同時アクセス数を適切に管理したい」 この課題に対して、SuperMap iServerの基盤である Apache Tomcatの設定を調整する ことで、サーバーの接続数を直接的に制御できます。 今回はその具体的な方法に加え、ビジネス要件に応じたより高度な制御方法まで、包括的に解説します。 方法1: iServer内部設定による直接的な制御(Tomcatチューニング) SuperMap iServerは、WebサーバーとしてApache Tomcatを内蔵しています。このTomcatの設定ファイルを直接編集することで、サーバーが受け付けるリクエストの最大数や処理能力を調整することが可能です。 これは、サーバーへの 物理的な入り口の広さや、一度に対応できる人数そのものを決める ようなイメージです。 設定方法 iServerのインストールディレクトリにある \conf\server.xml ファイルを開き、 <Connector> タグに以下の属性を追加または編集します。 XML < Connector port = "8090" protocol = "HTTP/1.1" maxThreads = "500" maxConnections = "1000" acceptCount = "200" connectionTimeout = "20000" ... /> 設定項目の補足説明 maxThreads : Tomcatがリクエストを処理するために同時に使用できるスレッドの最大数です。サーバーのCPUコア数やメモリに応じて適切に設定します。これがサーバーの 最大処理能力 に直結します。 maxConnections : ...