3分でわかる住所と地番の違い
マイホームの購入や相続、役所での手続きなどで、「住所」と「地番」という二つの言葉を目にすることがあります。これらは一見似ていますが、実はその目的も管轄も全く異なる、全くの別物です。
この違いを理解しないと、不動産取引や登記手続きで混乱を招くことがあります。その違いを3分で分かりやすく解説します。
「住所」とは? ― 建物に付けられた、人が訪ねるための名前
私たちが普段手紙を出したり、宅配便を頼んだり、カーナビで行き先を設定したりするときに使うのが「住所」です。
* 目的:郵便物の配達や、人がその建物を訪問しやすくするために使われます。いわば、建物に付けられた「表札」や「ニックネーム」のようなものです。
* 基準:主に「住居表示法」という法律に基づき、市区町村が定めます。建物の玄関の位置などを基準に、分かりやすく順番に割り振られます。
* 対象:建物です。建物がなければ、基本的に住所は割り振られません。
「地番」とは? ― 土地に付けられた、管理するための整理番号
一方、「地番」は、不動産の登記や固定資産税の管理など、法的な手続きで使われる土地の識別番号です。
* 目的:土地の所有権を明確にし、売買や相続などの権利関係を記録(登記)するために使われます。いわば、土地一筆ごとに付けられた「マイナンバー」や「管理用ID」です。
* 基準:主に「不動産登記法」に基づき、法務局が定めます。明治時代の地租改正に端を発し、土地を管理するために割り振られてきました。
* 対象:土地(地面)です。その上に建物があるかどうかは関係ありません。
なぜ住所と地番は違うのか?
この二つが一致しない最大の理由は、成り立ちと目的が全く違うからです。
日本では、まず土地を管理するための「地番」が全国で整備されました。しかし、この地番は入り組んだ土地の並び通りに振られているため、郵便配達員などが家を見つけるのには非常に不便でした。
そこで後から、主に市街地で「住居表示」という新しいルールが導入され、建物に対して分かりやすい「住所」が付けられるようになったのです。
そのため、以下のような状況が当たり前に起こります。
* 広い一つの土地(1つの地番)の上に、アパートや分譲住宅が複数建っている(複数の住所)。
* 大きな一つのマンション(1つの住所)が、複数の土地(複数の地番)にまたがって建っている。
【まとめ】いつ、どっちを使う?
* 「住所」を使うとき
* 日常生活全般
* 手紙や荷物を送る、受け取る
* 住民票、印鑑証明の登録
* カーナビの目的地設定、タクシーを呼ぶ
* 「地番」を使うとき
* 不動産の売買、相続、贈与
* 登記情報(登記簿謄本)の取得
* 固定資産税の確認
* 住宅ローンの設定
このように、「住所」は暮らしのための指標、「地番」は資産管理のための指標と覚えておくと、その違いが明確になります。
コメント
コメントを投稿