QGISは最強。でも、SuperMapを“相棒”にすると、もっと強くなれるかもしれない話
「無料で、軽快で、プラグインで無限に拡張できる。QGISは最強のGISソフトだ」。
私も含め、多くのGISユーザーがそう感じていることでしょう。オープンソースの理念と、活発なコミュニティに支えられたQGISは、私たちの業務に欠かせない、まさに「相棒」と呼べる存在です。
では、そんなQGISユーザーにとって、SuperMap GISのような商用プラットフォームは、単なる「高価な代替品」でしかないのでしょうか?
私は、そうは思いません。QGISを「万能な戦闘機」とするならば、SuperMapは特定の任務で圧倒的な性能を発揮する「特殊作戦機」のような存在です。両者を敵としてではなく、互いの長所を補完し合う「最強のチーム」として捉え直したとき、私たちのGISの可能性は、さらに大きく広がります。
今回は、QGISユーザーの視点から、SuperMap GISが「もう一つの選択肢」として、どのような独自の価値を提供してくれるのかを考えてみます。
価値①:「超大規模3Dデータ」との、ストレスフリーな対話
まず、SuperMapが最もその真価を発揮するのが、3Dデータの圧倒的なパフォーマンスです。
もちろん、QGISの3D機能も近年、目覚ましい進化を遂げています。しかし、都市全体のPLATEAUモデル、数億点を超えるレーザー点群、広範囲な実景3次元モデルといった、PCの限界を試すような「超大規模3Dデータ」を扱う場面では、SuperMap iDesktopXが持つ3Dネイティブなアーキテクチャの優位性が際立ちます。
これは、SuperMapがその創業以来、2Dと3Dを完全に統合したデータモデル(UDBX)と、C++で書かれた高性能なコアエンジンを磨き続けてきた結果です。QGISが素晴らしい「万能選手」であるのに対し、SuperMapは「大規模3Dデータ処理」という競技に特化した、生粋の「オリンピック選手」なのです。
価値②:「AIとの“深い”統合」― 専門家でないチームメンバーを巻き込む力
次に注目すべきは、AI機能との統合思想の違いです。
QGISユーザーであれば、Pythonと豊富なライブラリ(TensorFlow, PyTorchなど)を組み合わせることで、高度な地理空間AI分析を実行できます。これは非常に強力ですが、プログラミングとデータサイエンスの高いスキルが求められます。
一方、SuperMapの価値は、その「使いやすさ(アクセシビリティ)」にあります。
すぐに使えるAIツール群
衛星画像からのオブジェクト抽出や変化検出といった、頻繁に使うAI機能が、プログラミング不要のツールとして提供されています。
AIアシスタントとの対話
「AIアシスタント」を使えば、プログラミング経験のない都市計画家や営業担当者でも、「〇〇の条件に合う最適な場所は?」と自然言語で問いかけるだけで、高度な空間解析の結果を得ることができます。
これは、GISを「一部の専門家」の仕事から、「チーム全員」の仕事へと変革する力を持っています。
実践編:「二刀流」で実現する最強のワークフロー
では、具体的にどう連携させるのか。答えは「適材適所」です。
データの前処理と2D地図作成は「QGIS」で
多種多様なオープンデータや、癖のあるCADデータなどを、QGISの強力なデータ変換能力とプラグインで綺麗に整形し、GeoPackage形式で一元化します。報告書用の美しい2D地図の作成も、QGISの得意分野です。
3D化、AI解析、そしてプレゼンは「SuperMap」で
QGISで準備したGeoPackageデータを、SuperMap iDesktopXで直接開き、高性能な3Dエンジンでデジタルツインを構築。AIアシスタントと対話しながら未来を予測し、そのままインタラクティブな3Dプレゼンテーションで関係者に共有します。
このように、QGISを「世界中の素材を仕込む万能な厨房」、SuperMapを「最高の料理を仕上げる専門スタジオ」として使い分けることで、一人では実現不可能な、高度で効率的なワークフローが完成します。
まとめ
QGISがオープンソースの理念とコミュニティの力で進化し続ける、かけがえのない存在であることは間違いありません。
その上で、SuperMap GISは、QGISユーザーにとって「敵」ではなく、特定の、より高度な要求に応えるための「特殊装備」として、私たちの能力を拡張してくれる強力な「相棒」となり得ます。
オープンソースの柔軟性と、商用プラットフォームの特化されたパワー。この二刀流を使いこなすことが、これからのGISプロフェッショナルの価値を、さらに高めていくのかもしれません。
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