同僚のひと言から見直す、SuperMap iDesktopXでの地図作成ベストプラクティス

今日、職場の同僚と「『地図作成のベストプラクティスを共有します』って、英語でスマートに言えると格好良いよね」という話になりました。

その何気ない会話をきっかけに、「では、いつも使っているSuperMap iDesktopXの場合、地図作成のベストプラクティスとは具体的に何だろう?」と改めて考えてみることにしました。日々の業務で無意識に行っていることも含め、より効率的に、そしてより伝わる地図を作るための工夫はたくさんあります。

そこで今回は、私が普段から意識している、SuperMap iDesktopXで「良い地図」を効率的に作るためのポイントを整理してみました。


1. すべての基本。プロジェクトとデータの「お作法」

どんなに優れた地図も、しっかりとした土台の上に成り立っています。作業を始める前の準備が、実は最も重要です。

  • フォルダ構造を整える: プロジェクトに着手する前に、データの保存場所を決めましょう。例えば、「01_RawData」「02_ProcessedData」「03_Styles」「04_Outputs」のようにフォルダを分けるルールを作っておくだけで、後からデータを探す手間が省け、誰が見ても分かりやすい状態を保てます。

  • 一貫性のある命名規則: データセット、レイヤー、マップ、レイアウトには、内容を簡潔に表す名前を付けましょう。日付、地域、主題などを組み合わせる(例: Tokyo_Buildings_2023_Polygon)ことで、ファイル名から中身が推測しやすくなります。

  • 座標系を統一する: プロジェクトで使用する座標系は最初に決め、すべてのデータがそれに準拠するよう管理します。異なる座標系のデータを使う際は、必ず投影変換を行い、表示のズレ(ダイナミック投影はあるが)や解析エラーを防ぐことが大切です。

2. 「伝わる」地図の鍵。ビジュアライゼーションの工夫

データが持つ価値を最大限に引き出すには、効果的な「見せ方」が欠かせません。

  • 直感的なシンボルと配色: 表現したい情報に応じて、誰もが直感的に理解できるシンボルと配色を選びましょう。例えば、交通網は重要度に応じて線の太さや色を変え、人口密度は色の濃淡で表現するなど、地図デザインのセオリーに沿うことで、格段に分かりやすくなります。

  • 「透過性」をうまく使う: 複数のレイヤーを重ねる際、ポリゴンレイヤーなどに少し透明度を設定すると、下にある地図情報が透けて見え、情報の重なりや文脈が理解しやすくなります。

  • 主題図を積極的に活用する: 属性値に基づいて色分けやシンボルサイズを変える主題図(個別値主題図や段階区分主題図など)は、データの傾向や分布を瞬時に伝える強力なツールです。データが持つストーリーを視覚的に語らせましょう。

3. 一枚の「作品」に仕上げる。レイアウトの詰め方

地図は、情報を伝えるための一枚の「作品」です。最終的なレイアウトにもこだわりましょう。

  • 分かりやすい凡例(Legend): 地図記号や色の意味を正確に伝える凡例は不可欠です。記号や説明が多すぎても見づらくなるため、簡潔かつ必要十分な情報にまとめましょう。

  • 適切な縮尺とスケールバー: 地図の目的に合った縮尺を選び、見た人が距離感を直感的に把握できるよう、キリの良い数値のスケールバーを配置します。

  • 信頼性を高める付帯情報: タイトル、方位記号、データソース、作成者、作成日といったメタ情報は、地図の信頼性を高める上で非常に重要です。全体のバランスを見ながら、見やすい位置に配置しましょう。

4. 作業効率をアップする!iDesktopXならではの便利機能

SuperMap iDesktopXの便利な機能を活用すれば、作業はさらにスムーズになります。

  • スタイルライブラリで効率化: 作成したシンボルや配色、ラベルスタイルは、積極的にスタイルライブラリに保存して再利用しましょう。デザインに一貫性を持たせつつ、作業時間を大幅に短縮できます。

  • マップキャッシュで高速化: 大容量のデータや複雑なシンボルを使うマップでは、マップキャッシュを生成することで、拡大・縮小時の表示速度が驚くほど向上します。ストレスのない操作環境は、作業の質を高めます。

  • Pythonによる自動化: 繰り返し行う作業や複雑なデータ処理は、iDesktopXに搭載されているPython機能を活用して自動化することも可能です。定型業務を効率化するための強力な武器になります。

最後に

同僚との何気ない会話が、日々の業務を見直し、その意味を改めて考える良いきっかけとなりました。ここで紹介したプラクティスは、単に見栄えの良い地図を作るためだけのものではありません。データが持つ価値を最大限に引き出し、その情報を正確かつ効果的に伝えるための工夫です。

この記事が、皆さんのSuperMap iDesktopXを使った地図作成のヒントになれば嬉しいです。

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